アプリ

 スマホのアプリは英語で application、略して app [æp]。パソコン用のソフトも application, app だ。

 それじゃあなんで application と呼ぶのか?application ってば応用とか適用とかいう意味じゃないのか…その理由はコンピュータの黎明期にさかのぼる。

  

 20世紀のコンピュータは値段が高かった。軍事用や研究用のコンピュータはいろいろあったけど、商品、売り物としての初めてのコンピュータは、1951年に発売された UNIVAC I。初号機は性能が初代ゲームボーイほどもないのに、159,000ドルという値段だった…現代の日本円に換算するのは難しいけれども、ざっくり数億円。めちゃくちゃ高い。

 こうしたコンピュータはメインフレーム mainframe と呼ばれる。おおむね1980年代半ばぐらいまでコンピュータといえばメインフレームのことを指していた(パソコンと呼べる品物が登場してパソコン用 application が発売されたのは1970年代末)。

 

 とにかくメインフレームはひどく高価な品物だったから、とても個人で買えるものではない。会社が買う物だった。高い買い物だから、文字通り使い倒してモトを取らなければならない。

 そこで会社は何をどうしたか。会社の中には様々な業務がある。それらの業務のうち、コンピュータで処理できるものを特定し、それら業務に対してコンピュータを適用・応用したのだ。業務にコンピュータを応用・適用するためには、それ用のプログラムを作成しなければならない。初期には社内にコンピュータ部門を設けて、その部門のエンジニアやプログラマーがプログラムを作った。そうして出来あがったプログラムを application program と呼んだ。

 

 このような事情があって、コンピュータのソフトウェアを appliacation と呼ぶようになったという訳だ。これがパソコンやスマホにも引き継がれ、application, app と呼んでいるということ。